目先の年収にこだわらず企業の将来性を見る
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転職に成功する人は年収は結果だと考えています
多くの人が転職サイトに関して同じ誤解をしています。それは「転職と同時に年収や地位が上がる」と考えることです。
欧米など他の先進国では、専門的な仕事をしてきた人やキャリアのある人の転職は、引き抜き(ヘッドハンティング)やキャリアのステップアップを目的としたものが多く、転職と同時に年収が上がる、年収を上げるために転職する、というケースが一般的ですが、日本で、転職することが地位向上や年収アップにつながることは稀で、ほとんどの場合は同じくらいまたは、年収が下がったという声の方が多いです。
生活をしている以上、転職を考える際に年収を条件にすることは当然と言えますが、中には転職と年収を切り離して考える人もいます。年収は生活できる程度あれば良しと考え、企業の将来性に目を向け、やりがいと未来を考えています。
企業の将来性を見極めて成功した人の事例
東京都の上場企業で部長を務めていた佐藤さん(仮名)は、年収1,500万円の収入を捨て、Aベンチャー企業に転職しました。転職時に契約した給与は500万円。以前の33%にまで減ってしまいました。
佐藤さんは転職前にAベンチャー企業について知り、会社の事業内容を聞いて自分の得意分野だと思っていました。好きな分野だったこともあり、将来性を見極める知識も備えていました。人材募集の話を聞き、説明会に参加しました。社長の人柄を知り、人間関係も良好に保てる雰囲気であり、またビジネスパートナーとしても経営者としても申し分ない人だと判断しました。
そして6年後、Aベンチャーは業績を伸ばして株式上場が視野に入るまでになりました。さらに佐藤さんは年収が前職を超えるまでになっていました。現在は社長に次ぐ地位となり、好きな分野で経験やスキルを思う存分発揮しています。
そしてさらに、2億円の収入を得られる見込みも立ちました。
佐藤さんの戦略
年収大幅ダウンからの逆転劇の秘密は入社時の条件にあります。佐藤さんは入社時、株式会社の従業員が自社株を予定価格で取得できる権利、ストックオプションを条件として入職していたのです。目先の収入にこだわらず、得意な事業内容から将来性を見る目を持っていた佐藤さんは、この事業も企業も必ず伸びる!と見極めて、後々有利となる条件でベンチャー企業に入社しました。
チャレンジ段階の企業への転職のリスク
ベンチャー企業はチャレンジ段階にある企業でもあり、多くの企業が破たんしています。将来性は約束されておらず、ベンチャー企業への転職は大きなリスクとも言えます。
それでも、現在上場している大企業の中にも、ベンチャー企業からスタートしている会社は多々あります。企業の寿命は一昔前と比べて短くなっているものの、企業には成長する段階があり、段階と将来性を見極めることで、数年後に上場企業の重役として活躍できる可能性もあります。
企業の成長
- 【1】導入期(従業員 1~約100人)
- 【2】成長期(従業員 約100~300人)
- 【3】競争期(従業員 約150~350人)
- 【4】成熟期(従業員 約350~900人)
- 【5】衰退期(従業員 約900人~)
給与が上がらない昨今、同じ給与であれば自分の得意分野でやりがいを持って働ける環境を求めて転職する人も増えました。その際に目先の給与ではなく、将来性を考慮して企業を選び、未来の自分が報酬を獲得できるキャリアプランもあります。将来性を見極めるひとつの目安として「導入期」「成長期」にある企業を選ぶことでやりがいを得られる働き方も視野に入れておきましょう。
目先の年収にこだわった失敗例
転職にあたり、年収を第一条件として入職したNさんは、年収が400万円から600万円に上がる転職に成功しました。しかも転職支度金として150万円が支給され、転職サイトからも10万円が進呈され、自分が認められたことに大変満足していました。
ところがいざ入社してみると、自身の得意分野ではない部署で経験の無いトラブルが次々と起こり、解決するための業務と日常との業務で、会社の業績を伸ばすための計画を考える時間がありませんでした。企業としての業績も傾きつつあったことを知らなかったNさんは会社を立て直せる人として期待されていたにも関わらず、コミュニケーション不足により、そのための会議や打ち合わせの時間も人材も備えることができませんでした。結果的に会社は民事再生の適用を申請することになり、疲れ果てたNさんはもう一度転職活動をやり直すことになりました。